舌下免疫療法(シダキュア・ミティキュア)について

※シダキュアの在庫不足の為、現在シダキュアの初回導入を一時停止しております。薬剤の入荷が確認できましたら再開いたします。ご了承ください。

※シダキュアの在庫入荷が少量ではございますが、入荷しましたので、ご希望の方はご相談ください。(2023.11.20)

当院では、以下の舌下免疫療法を行っています。
 
舌下免疫療法とはアレルギーの原因物質(アレルゲン:スギ・ダニ)を少しずつ体内に吸収させることで、アレルギー反応を弱めていく治療法の事です。
アレルギー性鼻炎(含花粉症)は、アレルゲン(または抗原)と呼ばれる原因物質(ダニ、スギ花粉など)に よって引き起こされます。
舌下免疫療法とは、その患者さんのアレルギーの原因となっているアレルゲ ンを、少量から徐々に量を増やし繰り返し投与することにより、体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法です。
根本的な体質改善(長期寛解・治癒)も期待されます。舌下免疫療法は、アレルゲンを 舌の下(舌下)に投与する治療法で、現在、スギ花粉症およびダニアレルギー性鼻炎に対して行われています。

  • 対象年齢は5歳以上
  • 血液アレルギー検査で『スギ』の項目がclass2以上のスギ花粉症に対する舌下免疫療法(シダキュア)
  • 血液アレルギー検査で『コナヒョウダニ』『ヤケヒョウダニ』の項目のいずれかがClass2以上に対するダニアレルギーに対する舌下免疫療法(ミティキュア)

実施にあたり、以下の点をご注意下さい。

  1. スギ花粉症の場合は、スギ花粉が飛んでいる時期は新たにスギの舌下免疫療法を開始することはできません。
    スギ花粉症の「アレルゲン」は「スギ花粉」であり、スギ花粉が飛んでいる時期はアレルゲンに対する体の反応性が過敏になっています。
    そのため、スギ花粉が飛んでいない時期にスギの舌下免疫療法を開始する事が推奨されており6~12月中旬を予定しています。
    一方、ダニアレルギーのみの場合はダニの舌下免疫療法の開始時期に関わらず治療は開始できます
    スギ花粉症とダニアレルギーが合併している場合のダニの舌下免疫療法の開始時期は安全面を考慮し6~12月中旬を予定しています。
  2. 舌下免疫療法の効果が出るまでに時間がかかります。そのため、毎日、長期間(3年~5年)の服用が必要です。1ヶ月に1回の患者本人の定期受診が必要です
  3. 初回の投与は必ず医院内で行い、診察後、薬局でお薬をもらったあとに副反応の観察のために投与後30分程度、院内で経過観察をします。
    診察からの服用後の経過観察含めて1時間位かかります。お時間に余裕をもって来院してください。
  4. アレルギー検査結果が必須です。既に当院以外でアレルギー検査をされている方は検査結果をお持ちください。
  5. 舌下免疫療法の継続処方については火曜日午前と土曜日でも対応可能な場合がございます。

詳しくは以下をご覧下さい。

舌下免疫療法の診療までの流れ

①診察

採血にてアレルギー検査を実施します。結果が出るまで約1週間程かかります。
※過去に他院にてアレルギー検査を実施した結果がありましたらご持参ください。その場合は当院での採血は不要となります。

アレルギー血液検査代(診察料別)
保険診療 3割 約5,000円

②結果説明

採血検査結果を元に治療を検討します。

舌下免疫療法の初回投与について

初回の投与は必ず医院内で行い、診察後、薬局でお薬をもらったあとに副反応の観察のために投与後30分程度、院内で経過観察をします。
診察からの服用後の経過観察含めて1時間位かかります。お時間に余裕を持って来院してください。

※舌下免疫療法は院長診療日のみの対応となります。

舌下免疫療法診療日      月・水・木・金曜日、火曜午後(院長診療日のみ)

舌下免疫療法初回投与受付時間 午前中9:00~12:00 午後14:30~17:30

お薬にかかる費用

28日処方した場合の医療費について
※クリニックでの診察代の他にお薬代がかかります。

3割負担の場合

  • シダキュア 5000JAU
    28日処方:調剤料込 1,990円
  • ミティキュア 10000JAU
    28日処方:調剤料込 2,490円
  • シダキュア 5000JAU + ミティキュア 10000JAU
    28日処方:調剤料込 3,750円

0割負担の場合

  • シダキュア/ミティキュア
    28日処方:調剤料込 0円

舌下免疫療法の治療後の転帰について

3~5年免疫療法を施行し治療を終了した場合、治療終了後も年余にわたって効果が持続することが期待されています。
治療終了後の詳しい効果持続期間がどの程度なのかは、まだ報告がなく不明です。


シダキュア・ミティキュアの内服量について

・増量期(最初の1週目):シダキュア 2000JAU ミティキュア 3300JAU

・維持期(2週目以降):シダキュア 5000JAU ミティキュア 10000JAU

 
増量期:少量から開始し、体内へのアレルゲンの投与量を増やしていきます。
維持期:2週目からは一定量を維持します毎日同量の薬を舌下に投与し続けます。3~5年間継続します

シダキュア・ミティキュアの服用方法について

鳥居薬品のサイトに内服量や注意点など、詳しい服用方法が記載されています。ご活用ください。

舌下免疫療法の副作用

口の中にアレルギーの原因となるものを入れますので、アレルギー反応がでる可能性があり、このような副作用を副反応と呼びます。
舌下免疫療法開始直後の増量期に副反応が現れることがあります
ダニの舌下免疫療法の副反応は、スギ花粉症の舌下免疫療法よりも強くおこりやすいとされています。
 
気管支喘息とアレルギー性鼻炎の両方を持っているかたに舌下免疫療法を行うと、気管支喘息の症状を一時的に悪化させる可能性があるため、しっかりと気管支喘息の症状がコントロールされていないと開始できません。舌下免疫療法中に気管支喘息の悪化があれば。一時的に舌下免疫療法を中断することもあります。
 
■5%以上
・口の中の腫れ、不快感、口内炎などの口腔内アレルギー症状
・のどのかゆみ、違和感
・耳のかゆみ
■1~5%
・くしゃみ、鼻水などの鼻炎症状
・皮膚の掻痒感
■1%未満
・吐き気・腹痛などの消化器症状
・ぜんそくや息苦しさなどの呼吸器症状
・蕁麻疹
■頻度不明
・下痢、頭痛、動悸、眼瞼、眼瞼腫脹
・意識消失などのアナフィラキシーショック

口の中の違和感や鼻炎症状が出た時には、普段の治療で使用しているお薬を併用しつつ症状が軽度であれば投薬の継続は可能です。
ステロイド(副腎皮質ホルモン)の飲み薬の併用は、免疫療法の効果を下げますので、常用しているお子さんは治療ができません。
ステロイドの点眼・鼻噴霧・吸入・軟膏は併用可能です。
舌下免疫療法治療中に薬の併用で心配なことがあれば相談をしてください。

シダキュア・ミティキュアの同時併用について

同時併用は可能ですが、初回投与に関して同日に同時投与ができません。
初回、同日にシダキュア、ミティキュアを投与してしまうと初回の副反応が増悪する可能性が高まる為、鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版では同時併用の初回投与に関して、

シダキュアorミティキュアどちらか先行投与

1ヶ月間隔を空ける

ミティキュア or シダキュアを投与

と明記されています。

同時間帯同時併用の注意点:
2剤一緒に口腔内の舌下に投与は出来ません。
1剤目の薬を舌下投与してから、最低5分間以上の間を空けて2剤目の投与をします。

舌下免疫療法の中断・再開・中止について

中断・再開について

感冒症状が出現した際は中断の適応になる場合があり、その際は医師に相談をお願い致します。
 
中断した場合、投薬の再開はできますが、中断の期間によっては初回投与量からとなります。濃い濃度の薬でいきなり再開すると副作用が出やすくなるからです。

一般的には維持期に達していれば、再開が可能です。

  • 1~2週間の休薬
    維持期からの再開可能
  • 2~4週間の休薬
    一定の見解がない。当院では増量期(初回投与量)から再開
  • 4週間以上の休薬
    増量期(初回投与量)から再開

中止について

内服の中止の希望がある場合、自己判断で中止せず、必ず医師に相談してください。

舌下免疫療法の適応外・慎重投与症例について

適応外

  1. 舌下免疫療法の投与によりショック症状をおこしたことのある方
  2. 重症の気管支喘息の持病をお持ちの方(投与により喘息発作を誘発するおそれがあります)

慎重投与

  1. 舌下免疫療法製剤または各種アレルゲンによる診断・治療、あるいはアレルギーを含む食品の摂取などによりアレルギー症状を発現したことのある方
  2. 気管支喘息の持病がある方(全身性のアレルギー反応が生じた場合、重症化するおそれがあります)
  3. 悪性腫瘍、又は免疫系に影響を及ぼす全身性疾患を伴う治療を行っている方(例えば自己免疫疾患、免疫複合体疾患、又は免疫不全症等)
  4. 妊娠中の投与に関する安全性は確立していない
    アレルギー反応に伴って遊離されるヒスタミンが子宮筋収縮作用を有することが知られているので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること